西洋芝の種の蒔きかた(播種方法)

 

西洋芝の世界はここから始まります。ここで雑な仕事をすると後々ひびきます。ここでしっかりとした仕事をすることによって、きれいな緑のじゅうたんが貴方のお庭に広がります。このページにとらわれず色々なサイトや資料を研究して下さい。

 

 一般的な蒔きかた管理について
播き頃は厳冬期12~2月,盛夏期7~8月を除けばいつでも結構です。 芝床は根が伸びやすい下地をつくるために深さ20㎝くらい耕して下さい。この時十分に小石を取り除いてください。 砂が多目の土が西洋芝に適しています。石灰で消毒したり元肥を与えるとなお良いです。腐葉土や堆肥など有機物を混ぜた砂を上部にすきこむと理想的な芝床になります。 仕上げはトンボなどで出来る限り平坦にしてください。踏んだ足跡がやや沈み込むか込まないかくらいに押さえ込みます。ローラーなどで抑えれば理想ですが、なければ板などで押さえ込んでください。 芝床でその後の芝の良し悪しが決まります。ここまでの作業に95%の労力を注いでください。種はムラなく播種します。2~3回に分けて播けばなお良いです。播種後の覆土は薄めで、土の目が粗いようでしたらふるいを使い細かくしてかけます。目土や砂を混ぜた土を使うとなおよいです。 西洋芝は好光性発芽にて覆土は多すぎると発芽率が低下します。薄すぎると鳥害や風で飛んでしまうので、加減が難しいところです。ベンネットでカバーすると効果的です。 芽が出るまでの1週間は毎日朝夕水やりして下さい。年2~3回施肥してください。ハイポネックスのような液肥を与えるのが容易です。管理は草丈3~4cmが理想です。7~8cmまで伸びたら刈ってください。
 オーバーシーティングについて
西洋芝の種を販売していて、一番多く頂戴する質問が、高麗芝の上に西洋芝の種を蒔いて、冬も緑を楽しみたいというオーバーシーティングについてですが、実はあまりお奨めしておりません。
なぜなら、高麗芝をそのままで西洋芝に切り替えたいとのご希望が多いからです。この場合は、少々無理がございます。なぜなら通年管理がまったく異なるからです。
通常一般的に実施されるオーバーシーティングは高麗芝をベースに春から秋までを楽しみ、冬季間のみ寒地性の西洋芝で緑化をはかる方法です。簡単に言ってしまうと寒さに強くて暑さに弱い種類の芝草を冬期間のみ生育させて、表現が悪いですが春には死なせてしまう方法です。
高麗芝は匍匐して生育しますので、暖地型の高麗芝は春活発に匍匐行動にはいります。すると寒地型のオーバーシーティングに採用された芝草は、春の暖かさで弱りだしいるところに、高麗芝の匍匐攻撃を受けて生育できずに消滅してしまうのです。
翌冬のオーバーシーティングには再度種を蒔いて緑化します。種屋にとっては、毎年売上が期待でき、うれしいかぎりです。この場合のお奨め品種はイタリアンライグラス系です。特に当方でも販売しているイタリアンライグラス「ワセフドウ」は発芽も早く、5月以降急激に衰退しますので、高麗芝用のオーバーシーティングには最適です。
当方看板商品の「GPスペシャルミックス」は、春はもちろん夏場も生育旺盛ですから、不向きといえます。当方でテストしていますが春から秋にかけて高麗芝とGPスペシャルミックスはまさにガチンコ勝負を繰り返しどちらも負けずに随分表面の荒々しい芝生になっていますが、育たないことはありません。通年高麗芝と西洋芝の混合芝生の状態としてそれなりに青々としています。
西洋芝同士でオーバーシーティングをする場合もございます。寒地性の西洋芝と暖地性の西洋芝を交代させて本当にきれいで、それは見事な西洋芝の通年乗り換えをされる上級者の方がいらっしゃいます。管理と技術が必要になりますので、特定の域に到達した時にお楽しみ下さい。
オーバーシーティングの種の蒔きかたですが、当然、冬季緑化目的ですから、秋の作業です。10~11月初旬に播種します。高麗芝を1cmくらいに刈りこんでサッチ・刈りカスを十分に取り除いてから均一に播種します。板などを使用して芝の間に摺りこむように広げます。2~5㎜程度目土で覆土します。播種してからの1週間は朝夕水やりをして保水に努めます。播種後1ヶ月程度で化成肥料を与えます。芝生用の肥料なら最適ですが活性剤(液肥)でも十分です。

 

西洋芝の芝刈り方法について

 

芝は生き物です。季節を彩る花たちに比べて、芝の命は長く、それだけに日頃の管理が必要なのです。自動車に例えるなら「日常点検」です。毎日とは言いませんが、毎月はメンテナンス(芝刈り)してあげてください。

 

 <芝刈りは西洋芝管理の基本です>
西洋芝の手入れの中で、最も重要な管理で定期的に実施する作業が芝刈りです。桃太郎のおじいさんは山に芝刈りに行きましたが、芝生太郎のおじいさんはしょっちゅう庭に芝刈りに行くのでした。狭い部分や、壁際、障害物の周辺などは芝刈り機でかれませんのでハサミなどで刈り込みすることになりますが、基本的には芝刈り機を使用しますので、その面積にあった芝刈り機を準備してください。
 <芝刈り機について>

 100坪以上の面積なら電動を、それ以下なら手押し式をお勧めします。
 もちろん公園やゴルフ場でしたら、エンジン式や自走式が一般的ですが家庭用には必要ありません。エンジン式の担ぎ型草刈り機もきれいに刈るのは難しいのであまりお勧めではありません。やはり、20cmから25cm幅刈りの回転刃手押し式がお勧めです。価格も6,000円前後から10,000円程度で入手できます。 

 <芝刈り機の手入れ>
芝刈り機の刃は時々研磨することが必要です。ホームセンターで専用の研磨器具を販売していますが、研磨方法によっては切れなくなるように研磨する人もいらっしゃいますので経験者に相談するか、6千円くらいの安価な芝刈り機を買い換えていくのも方法の一つです。この程度の芝刈り機は回転刃をメーカーから取り寄せるほうが高価になり、付け替えも容易ではありません。
 <芝の刈り方>
最初、播種後の芝を草丈7~8cmくらいまで伸ばします。そこから刈り込みを始めて徐々に短くしていきます。初めの頃の刈り込みの高さを3~4cmぐらいにします。数回目からさらに短く2~3㎝の高さに刈り込むようにします。この調整は芝刈り機で容易にできます。
普通4~5段階になっていますので、最初は低いほうから3~4段階目あたりではじめて徐々に下げていけば結構です。縦方向・横方向を2~3回繰り返すときれいにムラなく刈れます。

 最初から短く刈りこみすぎると根元の茎部分ばかりが目立ち全体に茶色が目に入りやすくなります。徐々に何回も芝刈りを繰り返すことにより、新芽も芽生え、根元付近の茎も緑化し見た目にきれいな芝生の緑が広がります。生育さかんなとき刈りこみ回数を増やし、生育が落ち着いたときには回数を減らしてください。慣れればご自身で芝刈りの時期を判断できるようになり、芝がいとおしく可愛い存在になります。また、芝刈りの時の草の香りも最高です。

 <刈った芝の再利用>
刈り採った芝はチッソ成分を多く含んでおり、熟成させれば高品質の堆肥として利用できます。コンポストを利用したり、堆肥場所をつくり是非再利用しましょう。芝刈り機で芝を刈った後クマデで刈りカスを十分に集めて取り除いてください。この刈りカスがサッチになり、病気を誘発させてしまいます。

 

サッチング・エアレーション・目(芽)土について

 

サッチングは芝刈りとセットと考えて日常点検です。エアレーション・目土は定期点検と考えてください。数ヶ月に一度で結構ですから確実に実行してあげてください。

 

 <サッチング>
サッチとは、枯れた芝の根、茎、葉などのことで、言い方は強烈ですが半分腐った状態でたまっているものです。
サッチを取り除かずにそのまま放置しておくと、水や栄養分が芝床面に行き渡りにくくなり、空気と水の流通が悪くなりますし、なにより病気の原因になります。これは、芝刈り後の刈りカスや落ち葉の放置でも同様です。むしろ、刈りカスもサッチと考えておかしくありません。このサッチ取りを「サッチング」といいますが、道具は「金属熊手(レーキ)」が良いと思います。竹の熊手でもよいのですが、金属熊手がより細かく芝生に侵入できますので、サッチング効果も高く作業も容易と思います。ホームセンターで1,000円~2,000円くらいで入手できると思います。熊手の幅がネジで調整できるものが、使いやすいです。サッチングしたあとは、芝床面がきれいになっていますので、目土入れのチャンスです。逆に目土を入れる前や薬剤予防前にはサッチングをお奨めします。
 <エアレーション>
芝床に空気をいれることですが、作業的には穴を開けることです。芝生は密生して生育するので、芝の根が絡み合ったり踏み固められた土は地中のへの通水や通気が悪くなりますので、そのままでは、根が弱り茎葉の発育も悪くしてしまいます。特に水の浸透が悪くなった芝床面は散水後の水が芝の根元で滞留して茎部分を腐らす原因になります。芝は一度張ってしまうと耕せませんから、フォークやコアリング、ローンスパイク・パンチ(ポンチ)などで芝床面に穴を開けていきます。同時に根切りをいます。適期は春秋の芝生が元気なときに実施します。深さは5~10cmを目安に10cm間隔くらいにします。コアリング(6㎜・9㎜・12㎜直径の土抜き器具使用)を使用した穴あけが理想的ですがフォークによるエアレーションでも十分です。フォークを刺して抜く際に前後左右に揺すりながら抜き取るとエアレーション効果も上がります。<サッチング>→<エアレーション>→<目土>→<予防または施肥>が理想的な作業の流れです。
 <目土>
サッチング・エアレーションとのセットでの実施がお奨めですから、適期は春秋ですが、1年に1度しか実施しないのであれば秋が適期です。目的は痩せた土の補いですから、当然発育のために欠かせませんが、芝床面の凹凸が修正されますので、自然に芝表面の揃いも良くなっていきます。管理良く年数を経過した芝にはは毎年みごたえがよくなるのはこの目土の効果が甚大です。土の種類は排水性の高い用度を選びますが、ホームセンターに芝生の目土用が多く販売されているので市販のものが最適です。でも内容のわりに芝生専用を謳い高価な目土も少なくありませんので、川砂で代用されても結構ですし、川砂7に細粒の赤玉土や鹿沼土3を混合されるとなおよいです。目土の入れ方はいたって簡単です。芝床全体に3~5㎜程度が適しています。適当に目土を置いて、板切れなどで芝面に薄く広げます。感覚として芝の根元に擦り込むような気持ちで広げます。

 

雑草と除草について



 除草について
家庭の芝生内に生えた雑草は手抜きが基本です。「手抜き」と表現しましたが「手抜き?」せずまめに取り除くことが、きれいな芝を保ちます。カタバミのように実をつけるまで放置したとき種は数千粒も周囲に飛び散るのでその後の被害は甚大です。見つけたらすぐに抜き取るこれが鉄則です。
どうしても除草剤でとお考えの方に、ホームセンターに芝生用の除草剤が販売されていますが、ほとんどが日本芝(高麗芝・野芝)用ですからご注意ください。必ず西洋芝用表示のものをお買い求めください。
除草剤には雑草の発芽直後の幼芽や幼根から吸収させて生育を止める土壌処理剤と、生育した雑草の葉に直接散布して枯らす茎葉処理剤とがありますので、使用方法をしっかりと説明書で確認してから処理してください。特に土壌処理タイプは発育した雑草には効果がありませんので確認してください。また、茎葉処理剤は限定した草種のみに効くようにしたものも多いので、その場合は雑草をしっかり確認してから準備してください。とにかく用法用途を十分過ぎるくらい確認のうえ取り扱いにも注意しましょう。茎葉処理剤は噴霧する場合が多く、芝生周辺の植物にも影響を与える場合があり要注意です。使わないに越したことがありません。何度も申しあげますが、基本は手抜きです。
また、しっかり育てて密な芝生を形成すると、雑草が生えにくくなります。雑草を生やさないために芝生を植生する場合も少なくありません。基本は健全な芝生を栽培することです。

 

西洋芝の病気と対策について

 

●西洋芝は日当り、通気、透水を良くすることで病気の予防に成ります。
つまり、日頃の管理で定期的な芝刈り・エアレーション、サッチ・刈りカスのこまめな掃除、適時適切な水やりなどです。
それでも病気が発生したならば、早期に対策を講じてください。ゴルフ場のような場合は事前に予防しておけばよいのでしょうが、家庭の場合子供達の遊び場ということも多いのではないでしょうか、なるべく農薬を使いたくないですよね。そのためには、やっぱり適切な日頃の管理は重要です。
●病気はウィルスによるものが多く、日頃からのウィルス対策も有効です。家庭園芸用レンテミン液剤はウイルス感染を予防する薬剤です。 芝刈り機やクマデ・レーキの消毒にも使えます。 原材料で有効成分のシイタケ菌糸体抽出物は、有機農産物栽培に使用できる成分のひとつです。

 

 いもち病(グレイ・リーフスポット)
○症状:
ベントグラスやフェスク類、ライグラス類での発生が多くみられます。葉に小さな茶色の斑点のような病状が表れ急速に大きな楕円形となります。進行すると葉全体が茶色になり、ひどい時には枯れてしまいます。高温多湿が続くと発病しやすくなります。若い時期での被害が大きく、とくにチッソ過多になると被害が大きくなります。
○対策:
予防と治療には殺菌剤日本バイエルアグロケムタフシーバフロアブル(テブコナゾール・ペンシクロン水和剤)が有効です。管理面では乾燥を避け、チッソ過多や土壌の固結、除草剤によるストレスなどから避けるようにします。 刈りカス・サッチをよく取り除きます、エアレーションも実施して通気性や透水性を高めてるように努めます。
 うどんこ病
○症状:
植物全般に多い病気、うどん粉のような白い粉が発生したかと思うと次々に伝染して広がります。日陰で風通しの悪い所に発生しやすく、春と秋に多くみられます。刈り込みの少ない足長の芝生や、樹木の周辺に多く発生します。よく刈り込んでいる芝生には少ないので、日ごろの手入れである程度予防可能です。
○対策:
影を作っている樹木などは剪定して日当たりのよい環境をつくります。なるべく風通しをよくしてください。チッソの多用もよくありません。伸びすぎないように刈り取りますが、あまり短くしすぎるのは避けてください。武田サプロール乳剤(トリホリン乳剤)タケダベンレート水和剤(ベノミル水和剤)や日本農薬イソプロチオラン・フルトラニル水和剤(チオファネートメチル水和剤)などが有効。 安全性の高いうどんこ病退治薬として住化タケダ「カリグリーン」があります。原料は炭酸水素カリウムで、ベーキングパウダー(炭酸水素ナトリウム)と同じ炭酸水素塩の一種です。
 さび病
○症状:
冠さび、葉さび、黄さび、黒さび病などがあります。葉に鉄さびのような茶色の病斑が発生します、群生して葉全体、根元にまで広がります。病斑は長いだ円形で、進行すると茶色ないし、さび色の胞子を飛散させます。ケンタッキーブルーグラス・ペレニアルライグラス・高麗芝・野芝・、ノシバなどに発生します。比較的すずしい春と秋に発生します。
○対策:
日が当たりにくく多湿な条件で発生しやすく、カリ不足やチッソ過多は被害を拡大させます。風通しの良い環境作りに心がけて、葉に水滴が長く残らないように、なるべく乾かすようにします。日陰環境の夕方の水やりは真夏を除き控えることも検討しましょう。発生前からの予防として、あるいは発生してしまったらすぐに武田サプロール乳剤(トリホリン乳剤)などを散布する。 安全性の高いさび病退治薬としてうどん粉病で紹介した住化タケダ「カリグリーン」があります。原料は炭酸水素カリウムで、ベーキングパウダー(炭酸水素ナトリウム)と同じ炭酸水素塩の一種です。
 ダラースポット
○症状:
ほとんどの草種で発生します。症状が出た異常部分と正常な部分との境が茶色となります。はじめは、数センチくらいの大きさで、徐々に被害が広がりますので、早目の対策が必要です。ブラウンパッチに比べ病巣は深く枯れが強いのが特徴です。5~11月にかけての発生がほとんどで、菌核が翌年にまでのこり伝染源となるので注意が必要です。
○対策:
土壌の酸性を矯正し、チッソ不足に注意します。乾燥を避けるようにしますが、1回の潅水量を多くし、回数は少なめにします。サッチや刈りかすをこまめに取り除いてください。三共チウラム(チウラム)・武田ダコニール1000(TPN水和剤)などを散布する。
 葉枯病
○症状:
病原菌(ヘルミントスポリウム、ドリクスレラ、カーブラリア菌など)によって、葉や茎に茶褐色の斑点で発生し、徐々に広がり灰褐色になり枯れます。ベントグラス・バミューダグラス・高麗芝・野芝などに発生します。春から梅雨時と秋頃にも発生します、とくに雨の多いときに多く発生します。
○対策:
チッソ肥料のやりすぎに注意します。発生した際箇所は刈り取り、刈りかすも十分限り取り除いてください。夕方から夜にかけての水やりは避けて、できる限り風通しの良い環境作りに心がけ、葉をなるべく乾かすようにします。発病したなら武田ダコニール1000(総合殺菌剤・TPN水和剤)やサンケイオーソサイド水和剤80(キャプタン水和剤)などを散布して対処します。
 ピシウムブライト
○症状:
ピシウム菌の種類によって、低温期に発生して芽の成長を遅らせる「ピシウム春はげ症」、高温期に多発する「赤焼病」、高温・多湿で日本芝に多発する「ピシウムブライト」があります。「赤焼病」は低温で発生する菌も関与するので春~秋まで発生します。芝生に不定形の色落ち部分が発生した後に枯れて茶色になります。
○対策:
多湿状態で被害拡大しますので排水につとめ潅水時期にも注意します。夕方遅くや夜間散水は蒸発しにくいので注意します。サンケイオーソサイド水和剤80(キャプタン水和剤)、三共アグロエクロメゾール水和剤や武田ロブラールフロアブル(イソプロチオラン)日本農薬コンバード水和剤(フルトラニル水和剤)、丸和ターサンSP水和剤(クロロネブ水和剤)などを散布する。ピシウムブライトの薬剤防除ではとくに同じ薬剤の連続使用を避けます。
 フェアリーリング
○症状:
ほとんどの草種で発生します。きのこ類による病害です。梅雨時期に発生が多く見られ、秋になると被害が拡大します。はじめの頃、直径10cmほどの濃緑色の部分が出現し、次第に拡大してリング状に広がります。リングの周辺部分が生育旺盛な濃緑色となり、その周辺にきのこが発生します。毎年同じ場所に発生し、乾燥時にはリングの内部が枯死することもあります。
○対策:
きのこ菌を取り除くために、刈りカス・サッチをよく取り除きます、エアレーションも実施して通気性や透水性を高めて広がりを防ぎます。武田サプロール乳剤(トリホリン)、日本農薬グラステン水和剤(イソプロチオラン・フルトラニル水和剤)も有効。極めつけは、コアリング後に信越化学ミドリッチ(浸透剤添加)を使用した散水が効果的です。「ミドリッチ」は、 浸透性、透水性、排水性、通気性、保水性改善。乾燥害、ドライスポットの予防が目的ですが、一般的には入手が困難かもしれません。
 ブラウンパッチ(葉腐病)
○症状:
呼んで名のごとく「茶色のつぎあて」状に枯れが広がります。梅雨時期からの発生が目立ちますが、ピークは7~8月です。梅雨明けの急激な高温、多湿により多く発生する。不定形の茶色の斑点が現れ出して、徐々に葉全体が濃い緑色から褐色となってしおれてきます。発症した部分は、枯れて広がりパッチ状(つぎあて状)となります。ほとんどの寒地型芝草に発生する可能性があります。西洋芝の代表的な夏の病気の一つです。品種による差も大きく。トールフェスクではエンデバーが強い抵抗性をもっています。「GPスペシャルミックス」も一応この対策を講じた配合にしていますが、条件が悪いとどうしても発生しますので十分な対策を講じてください。
○対策:
厳密には土壌酸度を矯正し、pHが6.0以下(住化タケダ・アースチェック液で計測)にならないようにします。貝化石石灰が効果的なようです。透水性を良くする為に普段から芝生フォークでエアレーション(穴あけ)を施します、常に通気性の改善に努めてください。また、日ごろからサッチ(芝の根元の老廃物)をこまめに取り除くことも重要です。発生したならば武田ダコニール1000(TPN水和剤)やベンレート水和剤(ベノミル水和剤)、サンケイオーソサイド水和剤80(キャプタン)などを散布して下さい。同一薬剤の連用は効果が薄れますので、交互に試してみてください。
 雪腐病
○症状:
ほとんどの草種で発生しますが、品種による差も大きくケンタッキーブルーグラスでは「バルセロナ」が、比較的に紅色雪腐病には強いようです。本州の降雪地帯では「雪腐褐色小粒菌核病」「雪腐黒色小粒菌核病」「紅色雪腐病」が発生します。北海道ではそれらのほかに「雪腐大粒菌核病」の被害も大きく、低湿地帯では「褐色雪腐病」も発生します。雪どけ後に芝生の葉が白くなり、大小さまざまな枯れが発生します。「小粒菌核病」は褐色あるいは黒色の点粒の菌核を作ります。「紅色雪腐病」は円形の枯死部分が薄いピンク~赤色になります。「大粒菌核病」の菌核は黒色のねずみの糞のような形でやや大きめです。
○対策:
冬前の肥料管理で、芝の抵抗力を高めておきます。とくにチッソ不足は被害を大きくしますのでチッソの含有量の多い肥料を与えておきます。刈りカスやサッチの除去も実施し、エアレーションはもう一段強めのコアリング(6㎜・9㎜・12㎜直径の土抜き器具使用)で穴あけをして目土をしっかり充填しておくことも有効的です。根雪期間が長いと被害が加速されるため、融雪剤の散布も効果的です。薬剤対策が最も有効的ですが、根雪前の処理が原則となります。ベンレート水和剤(ベノミル水和剤)・クミアイバシタック水和剤75(メプロニル水和剤)などがあります。紅色雪腐病にはカネショウキノンドー水和剤80(有機銅水和剤)が有効です。
 リゾクトニア・ラージパッチ
○症状:
多くは日本芝(コウライシバ、ノシバ)に発生しますが、その他の暖地型の西洋芝草にも発生することがあります。おもに春と秋に発生し、夏には弱まります。茎葉部が侵され、病状が進むと茶色が濃くなり、根元から抜けやすくなります。発生した部分はパッチ状に枯れていきます。
○対策:
荒っぽくまた、過度にサッチを除去し過ぎると発病を促します。過湿土壌で発生しやすいので、排水状況に注意します。芝刈り機を介して他へ伝染させますので、発生後は芝刈り機や、サッチ取りの熊手(レーキ)、コアリングなどの洗浄が必要です。発生したら早めに、三共チウラム(チウラム)やタケダベンレート水和剤(ベノミル水和剤)などを散布します。また、同じ薬剤の連用は避けるようにします。

 

西洋芝の害虫について



 シバツトガ
○生態・被害
シバツトガはアメリカから入ったものと見られています。種類が多く、地方によって生態が異なるようです。
ツトガは、幼虫期間約2週間、蛹期間約4週間、成虫期間約1週間、卵期間約1週間という生態経過だが、これは寒地と暖地、またはその年の気候によって変わってきます。暖地では4化性と見られていますが、これも地方により、またその年の気候によって異なる場合があります。ツトガの類は、孵化直後の幼虫で体長1mm、蛹化直前の幼虫期で体長約20mm、色は淡灰褐色で、この虫特有の袋状の苞(ツト)をつくり、その中に入って地面近くで棲息しています。幼虫は夜間に芝地の根の近くを食べてしまうので、このツトの開口部付近は芝地がまばらになってしまいます。この幼虫に気づかずに放置すると、短期間に被害が拡がり、芝生が茶褐色になることがあります。
成虫は体長約20mm、昼間は樹木や伸びた草の陰で棒状になってとまって居ることが多いようです。
5月初めごろにツトガが出現しだして8月中旬ごろに最も多く発生し、そのころ被害が拡大します。
○対策:
本害虫もアワヨトウムシと同じように土壌中に棲息する害虫ではないので、殺虫剤による防除は比較的容易です。殺虫剤は午後遅く、または夕方散布します、このとき潅水は翌日まで延ばします。散布前に芝草を短く刈り込むと薬がよく効ききます。
殺虫剤には家庭園芸用武田オルトラン水和剤・粒剤(アセフェート剤)や家庭園芸用武田スミチオン乳剤(MEP剤)、家庭園芸用サンケイダイアジノン粒剤3(ダイアジノン剤)などが有効。 比較的安全性の高い薬剤としては、トアローフロアブルCT(バチルス・チューリンゲンシス菌の産生する結晶毒素)で、天然微生物(B.T.菌)の産生物質を有効成分とした、アオムシ・ケムシなどの専門薬です。 作物に対する安全性が高く、有機農産物の栽培に使用できます。水に溶かしやすく、植物に均一に付着するため、従来の水和剤と比べより安定した効果が期待できます。 散布後、害虫の食害は直ちに止まるため被害防止に役立ちます。殺芽胞剤(菌を不活性化してある)なので、散布後に菌が増殖して環境に悪影響を与える心配がありません。
 スジキリヨトウ(シバヨトウムシ)
○生態・被害
日本に広く分布するヨトウムシで、シバヨトウとも呼ばれています。幼虫で越冬し、年3~4回発生します。したがって被害は早春から晩秋までみられる。
幼虫は夜に活動し、芝草の葉に卵を産み付けます。数日後に孵化した幼虫は芝草の柔らかい組織を食べてしまいます。
○対策:
芝刈りの頻度を多くすると卵が死滅しやすくなります。薬剤では、家庭園芸用武田オルトラン水和剤・粒剤(アセフェート剤)や、家庭園芸用サンケイダイアジノン粒剤3(ダイアジノン剤)、家庭園芸用武田スミチオン乳剤(MEP剤)、三共アグロカルホス乳剤(イソキサチオン乳剤)、クミアイダーズバン乳剤40(クロルポリホス剤)などが有効です。 比較的安全性の高い薬剤としては、シバツトガ対策で紹介したトアローフロアブルCT(バチルス・チューリンゲンシス菌の産生する結晶毒素)です。
 その他、こがね虫類・ゾウムシ
●芝に限らず植物に多い害虫です。
◎シバツトガ・スジキリヨトウ・こがね虫類・ゾウムシのそれぞれに有効な薬剤です。

クミアイランダイヤ粒剤

 

WOSとは、
WOSとは Winter Over Seed で、
オーバーシードのことですが、
文字の通り一般的に冬場枯れる高麗芝の冬季緑化を
目的に実施されるます。

原理は高温に弱い品種の西洋芝を
秋に播種して冬場生育させ、
春から夏にかけては衰退させます。

この「衰退させる」とは、
高麗芝が春から夏にかけて活性化するので、
衰退させられるというほうが、
表現が合っているかもしれません。

当方では、オーバーシードに使用する品種は、
ペレニアルライグラス「カタリナⅡ」を推奨しています。

ベースを高麗ではなく西洋芝にするほうが、
理想的な切り替りができ通年緑化を図れるので、
最近では、ベースも西洋芝にするケースも多く、
その場合はバミューダグラス 「リビエラ」を推奨しています。